今日はありがとうございます。まず御社(帝人フロンティア株式会社)について、教えてください
帝人フロンティア株式会社は、商社機能を持った「NI帝人商事株式会社(旧)」とメーカー機能を持った「帝人ファイバー株式会社」が合併して出来た会社です。新たな「事業創出と市場開拓(商社機能)」をしながら、「糸や生地の研究開発(メーカー機能)」も行っています。
【Information】帝人フロンティア株式会社:www2.teijin-frontier.com/

小野寺さんご自身についても教えていただけますか?
いま「衣料マーティング部」という部署で、様々な販促活動をしていますが、素材ブランディングもその業務の一つです。
ご使用いただいている「ECOPET® / エコペット®」という素材だけでなく「SOLOTEX® / ソロテックス®」など、私たちが開発した多くの素材を世の中に広めていく仕事をさせていただいています。
その一環として、国内外の展示会にも出展し、「サスティナブルファッションEXPO」という展示会で府川さん(SUBU ブランドディレクター)とも出会って、お話をさせていただきました。
取り扱う素材ブランド数はかなり沢山あるのですが、ECOPET® と SOLOTEX® は、会社として特に大事にしているブランドです。
早速ですが、SUBU RE: の中綿素材として使われている「ECOPET® / エコペット®」という素材について、詳しく教えてください。
1995年に販売開始されて、今年で30周年を迎えるになる長く使われているリサイクルポリエステル素材です。
ポリエステルのリサイクル方法は、「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」の2つに大きく分かれます。マテリアルリサイクルは主に、使用済のペットボトルを砕いて溶かしペレットにして、さらに溶かして細長い繊維状の中綿などに物理的に処理する方法です。
SUBU RE: に使われているECOPETはマテリアルリサイクルで作られたものです
【Information】ECOPET® / エコペット®:www.ecopet.info/
【Information】SUBU RE: 特設サイト:subu-recollection.com/
マテリアルリサイクルで作られた ECOPET® の場合は、石油由来のポリエステルと比較すると「約60%のCO2排出削減効果」があります。
1995年から生産販売開始となると、かなり早いスタートですよね?
当時は、「サステナブル」という言葉はもちろん、「エコ」とか「リサイクル」という言葉や理解もまだまだ浸透していませんでした。
当時は、大部分のペットボトルはリサイクルされることなくが燃やされたり埋め立てられたりしていたようです。
回収してリサイクルするという考え方が一般的ではない時代の中で、原料として使うことを決めて、研究開発を重ねながら生まれたのが、この ECOPET®です。かなり先進的なアクションだったと思います。
ユニフォームなど、スポーツ業界で多く使われていますか?
スポーツウェアやユニフォームは、破れにくいなどの強度や耐性的なことだけでなく、機能性も含めて、生地としての物性基準を非常に厳しく求められます。
ECOPET®のようなリサイクルポリエステル素材で、その基準を満たす為には非常に高い生産技術が必要で、難しい部分もありますが、長年に渡って磨いてきた技術力、独自の研究と開発を積み重ねてきたノウハウがあるからこそ、スポーツ関連のブランドやメーカーにも採用使っていただいています。
もちろんスポーツに限らず、ファッションアパレルでも使っていただけるようになりましたが、「リサイクルポリエステルを使用していきます」というスポーツ関連ブランドによるメッセージが、市場に浸透してきていることも影響しているように思います。

【Information】SUBU 公式オンラインショップ:RE NYLON
素材を掘り下げていくのは、新鮮で面白いですね
そうですね。一般的には、糸の断面は丸いものだと思われがちですが、真ん中に穴が空いている中空糸とか、ただの丸ではなくて断面の形状が変わっていたり、8本足に分かれていて凹凸のある糸など、異型断面糸と呼ばれる素材も多くありますよ。
長年の成果で、こうして糸の形状自体に機能性を付与できるのは、弊社の強みだと思います。
中空糸だと、保温性もあって温かくなりますし、糸自体に機能や特性を付与するのは、非常に難しいですが、とても奥深く面白いです。
ECOPET®はどのような機能がありますか?
機能というか特徴としては、非常に汎用性が高いです。
使用用途や必要とする機能などのご要望に合わせてた形で ECOPET® の原料を使って様々な繊維を作れますので、「全てのご要望に応えることができる」と言っても良いくらいに汎用性があります。
マイクロファイバーよりもさらに細い繊維にすることも可能で、細くすると滑り難いという特性が出るので「靴の中敷やゴルフグローブ」に使っていただいたりもしています。
技術的にしっかりと確立している歴史のある素材なので、衣料品に限らず、中綿のみならず、色々な場面で広く使っていただいています。キッチンシンクの三角コーナーで使う「水切りネット」とか、バスケットボールやバレーボールなどの人工皮革、電車座席のクッション材としても使われたり・・・様々です。

写真左)帝人フロンティア株式会社 小野寺暁人さん 写真右)SUBU 生産管理 佐藤亘
WORD by gooth.inc
連載企画[SUBU25]とは・・・2020年を皮切りにスタートした連載企画。
この世に[SUBU]が誕生して5年が経ったその節目の年に、これからの「5年間」を見据えていくために活動開始。これまでの「5年間」を振り返りながら、これからの「5年間」に、どう繋げていくか、をこの活動を通じて、見定めます。
その一方、「トゥーゴー」という読み方には、[SUBU]と一緒に出かける、という意味も。単純に[SUBU]を履いて街に出かける、というのもそう、こうして、お話をしたことのない方の元へ出向く、というのもそう。もっと言うと、新しいコトへ、一歩踏み出して、チャレンジする、という意味も。これからこの連載企画を通じて、[SUBU]がさらに、魅力的なブランドへと成長していくことを期待して、活動していきます。
2020.12.28 連載企画[SUBU25]がスタート | 前編 / 連載企画[SUBU25]がスタート | 後編
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